ぬーみんの日記

某大医大生の短期留学と膝のリハビリと医学メモ

疾病による社会的損失

今回の記事は先生のボヤキをまとめたメモ程度のものです。

出典を探してみましたが、ネット由来のものしか見つかりませんでした。

 

が、予防医学を考える上では重要なことではないかと思ったのでまとめてみようと思います。

 

病気・怪我の時(´;ω;`)ウッ…

日本の企業戦士たちは真面目すぎて休むことを知らないと言われているとかいないとか。

しかしいくら真面目でも病気になるときはなるし、けがをするときはします。

さて、戦士たちは会社を休むのでしょうか?

 

少々ならつい無理して出社してしまいがちです。

理由は、「職場に迷惑が掛かるから」「急ぎの仕事があるから」「欠勤すると評価が下

がるから」などさまざまです。

 

さすがに骨折で動けないとか、インフルエンザになったとなれば休むでしょうけどね

 

休む方がいいのか無理して出社する方がいいのか?

前項で考えたように、体調不良の場合に取る手段としては

  1. 休む
  2. 出社する

が考えられます。

労働者からすれば自分の評価を下げないために出社する方がより良い選択であると考えがちです。

では、雇用側としてはどうなのでしょうか?一見すると休まれた方が人員の欠落で生産性の低下を招くので、出社してもらう方がいいと思うような気もしますが・・・

 

社会損失を考える前に

 

体調不良による労働損失は、「病気欠勤」と「疾病就業」の2種類あると考えられています。

 

欠勤による損失:アブセンティーイズム(Absenteeism=病気欠勤) 

欠勤や休職、遅刻、早退など、職場にいないことで仕事ができない状態による損失のこと。

例)骨折で動けない、うつ病で家から出られない、インフルエンザになった

 

パフォーマンス低下による損失:プレゼンティーイズム(Presenteeism=疾病就業) 

出勤しているのに体調不良で労働意欲、集中力が低下し、本来発揮されるべきパフォーマンス(職務遂行能力)が低下することによる損失のこと。

例)花粉症や副鼻腔炎で鼻水が出る、下痢で頻繁にトイレに行く、頭痛で集中できない

 

雇用側にとってより深刻な問題は

なんと最近の研究で、企業にとってはpresenteeismの損失の方が深刻であるとわかったそうです。

アメリカのある調査では、花粉症を含むアレルギーによる労働損失は、従業員1人当たり日本円にして年間約59万円にも上るという計算をしています。

 

以下は私の推論です。

absenteeismの場合は「休んでいる」客観的指標が存在するので、早期に会社への損失を見積もって対策を立てられます。

例えばヘルプに来てもらう、他のメンバーに少し残業してもらう、などです。

 

一方presenteeismの場合は明確な指標がないため、最悪の場合損失が生まれていることに気づかずスルーされている場合があるからではないかと考えます。

 

医療による社会貢献

耳鼻科の先生曰く

「200万円かけて生保のおっちゃんの下咽頭癌を治しても国家にとって200万円の損失になるだけや。

でも副鼻腔炎とかアレルギー性鼻炎の働き盛りの患者を10万円かけて治療すれば、治療費以上の生産性があるから結果的にプラスになる。

俺はめっちゃ社会貢献してるって思ってる!!」

 

だそうです。まあ、そうですね。QOL改善マイナー科って素晴らしいですねー。

生保のおっちゃんの話はノーコメントで触れないでおきますが。

 

直接命にかかわらない病気でも社会から見れば大きな損失を出す原因になっているということがよくわかります。

医者はこのように困っている人たちを治療する手段を持っています。

患者さんに喜んでもらえて、かつ社会のためになるなんて医者冥利に尽きるのではないでしょうか。

 

この記事のまとめ

  • 疾病による社会損失としてabsenteeismとpresenteeismがある。
  • presenteeismのほうが損失として大きい。
  • presenteeismの大きな原因に鼻炎があるが、うまく治療すれば治療費以上の社会損失を防ぐことができる。長期的に見てプラスにできる。

参考文献

「健康経営の「予防投資」が労働損失をカバー」 〜ティーペック健康ニュース