ぬーみんの日記

某大医大生の短期留学と膝のリハビリと医学メモ

ビア腹のPatient

こんにちは、ぬーみんです。

そろそろ海外実習のMotivation Letterを清書しないと時間ないけど、やる気起こりません。どこに行くかは、秘密です。たぶん医学生でこの国に行くのは自分と相方だけでしょうから身バレします。それぐらい変わった国に1か月行きます。

 

 

さて、今日のタイトルは何を表しているんでしょうか。

ビール腹の患者はよく見かけますが。

 

 

 

これはChild-Pugh分類のゴロ合わせです.。肝硬変の重症度判定や予後予測に用いられます。また合併している食道・胃静脈瘤の治療方針を決定するためにも使われます。

 

「child pugh 分類」の画像検索結果

出典:

https://blogs.yahoo.co.jp/sunnysideexpress/27449962.html

「ビール腹」の画像検索結果

 

スコアが8~9点の場合には1年以内に死亡する例が多く、10点以上になるとその予後は約6ヶ月となるそうです。

 

 

 

もう一つ肝臓で重要なスコアは肝障害度です。

こちらは予備肝機能を評価して肝細胞癌の治療方針決定に使われます

Child-Pugh分類の脳症のところがICG試験15分値に変わったものです。「肝障害度」の画像検索結果

出典:http://www.jikeisurgery.jp/diseasegroup/hpb/hepat/hepat-ca/

 

ちなみにICGとは色素(ICG:インドシアニングリーン)のことで、経静脈的に負荷すると血中のリポ蛋白に結合して肝に輸送されます。ICGの特徴的な点は肝臓の類洞を通る間に肝細胞に摂取され抱合を受けずに、すぐに胆汁に排泄されることです。

ということで血中のICG濃度を経時的に測定すれば、肝の色素排泄能を観察することで肝機能や肝予備能を判定することができるのです。肝臓が悪くなっていればうまく色素が排出できず血中に残る、という原理を利用しているのですね。

 

で、ついでに肝癌の治療アルゴリズムです。

「肝癌 アルゴリズム」の画像検索結果

このアルゴリズムで最も重要な点は肝障害度がCならば治療不能という点です。

ほかのガンなら個数や大きさ、転移によって定義されたステージを重視しますが、肝癌は残存肝機能を最も重視します。なぜかというと代替肝療法が存在しないからです。

心肺なら体外式循環装置、腎なら透析で何とかできるけど、肝臓の代わりになる機械は今のところ存在しません(もしあったらどんなに大きい装置なんだろうか・・・)

個数が多くても肝機能が良ければ代償できるので積極的に治療していきます。

逆に肝機能が悪い場合は、治療を行ってから肝不全を発症する可能性があります。外科手術の原則は『手術によって余命を縮めてはいけない。予後改善が見込まれる場合に施行する』なので、予備肝機能がない場合は肝臓を触らないほうが予後がいいわけですね。