ぬーみんの日記

某大医大生の短期留学と膝のリハビリと医学メモ

ガンの診断から外科的治療までの一連の流れ(おまけ)

前回までの記事のおまけです。

 

 

  •  術前化学療法

手術根治性を高めたり、手術適応外の浸潤を手術適応範囲まで縮小させるために行います。食道ガン、直腸ガン、進行胃ガンで主に行います。しかし、強い副作用が出て中止することもあります。

化学療法に対する評価はCR(完全効奏)、PR(部分効奏)、SD(安定)、PD(進行)のように分かれます。

 

  • 術後化学療法

根治的切除を行って病理的にも残存腫瘍がない場合でも、進行ガンであれば再発することがあります。それを抑制する、もしくは遅らせるために行います。(再発と術後療法については本当に効果がある人は少数かも、という論文もあるそうで・・・。術後治療をしてもしなくても結果が変わらない人は一定数いるようです。感受性を調べるなど、オーダーメイド治療が必要なんかな・・・)

ガンの診断から外科的治療までの一連の流れ(後編)

こんにちは、ぬーみんです。

昨日、中学のときの部活仲間と久々に会ってきました。相変わらずうるさい・・・みんな元気そうで何よりです。話題はほとんど就職や将来の話、そして現実的恋愛話や結婚についてでした。年取ると夢にあふれた話題も減ってくるんやね・・・
あと、占い師さんに今後1年~3年を占ってもらいました。言われたことは

 

  • 今の彼氏を離すな。まだゴールは見えないが平和な関係が保てる。2年後に危機を迎えるが3年後に結婚運は最高になる。
  • 別れたとしても3年後は絶好調だから結婚まで話がまとまりやすい。いい人も見つかるかもしれん。
  • でも結婚線が下がっているから晩婚のほうがいいかもしれない。
  • 就職や仕事については問題はない。経験を積むことで天職となる分野が見つかる。
  • 仕事しながらも家庭も両立していける。
  • 健康面も大きな問題はない。

うーん、一般論やん。まあ、それなりにいい結果だから都合よく信じようかな。研修で忙しくなっても周りに対する思いやりを忘れるなって戒めかもね。

 

 
 
さて、この前の続きです。
 
 
 
  • 入院
通常手術の1-2日前から入院しますが、場合によってはより早期に入院することもあります。経口摂取不可、脱水、低栄養、貧血などがある場合です。また薬剤管理のために早期入院することがあります(ワーファリン→ヘパリンは1週間程度)。周術期管理を楽にするために、半減期の長いワーファリンから短いヘパリンに置換するのです。
 
  • 手術
執刀医の先生がんばれ!!
開腹するまで、開胸するまで正確な浸潤度がわからない場合、予想以上の浸潤のため手術が中止となることがあります。腹膜播種や大動脈浸潤の場合です。非常に残念ですが、あとは緩和ケアとなります。
 
  • 術後管理
大手術の場合はICUに帰りますが、軽い手術なら病棟に帰ります。基本的にどの患者さんもECG(心電図)、SpO2(酸素化)、BP(血圧)、BT(体温)はしばらくモニターしておきます。重症な患者さん、大手術後ならA-lineやCVP(中心静脈圧)も追加されます。
 
術後は早期離床、早期経口摂取開始、早期ドレーン抜去が基本です。積極的にリハビリも介入します。せん妄や静脈血栓症廃用症候群の防止のため、病院の回転率を上げるためです。ただし、離床時には肺塞栓症を起こさないか監視することが必要です。また、経口摂取開始時は誤嚥のリスクも考えなければいけません。
 
  • 退院支援
退院計画は入院時から作成します。家に帰るのか、慢性期の専門病院に転院するのかなどを決めます。
 
 
 
 

ガンの診断から外科的治療までの一連の流れ(前編)

ご無沙汰です。夏休みで完全に緩みきってるぬーみんです。最近医学の勉強がお留守になってます。

そのかわりにPythonの勉強をしています。8/28日まで限定でプログラミングコースのアカウントを使わせてもらえることになったのでこっちを最優先してます。Pythonの勉強についてもそのうち別途ブログにするつもりなので探せるもんなら探してみてください。


さて、今日はガンについてざっくりです。これは呼吸器外科と消化器外科で同じことを言われました。この先、実習重視の国試に移行していくことが予想されるので、こういう臨床的な知識や感覚は大事になると思います。1つ理解しとけばいろんなガンで応用できますしね。(この記事では外科の先生の視点でまとめます)。

ざっくりとした流れ

初診

  • 症状の有無
  • 受診施設

術前検査

  • 病変に対する検査
  • 全身機能検査
  • 入院前指導
  • IC

入院

  • 術前補助化学療法
  • 投薬管理
  • 全身管理

手術

  • 術後管理
  • リハビリ介入、早期離床
  • 術後治療の有無
  • 退院支援

外来通院・フォロー

(詳細)

- 初診

 症状の有無 近年、ガン検診が広まったり画像診断術が発達したことで無症状でガンが見つかることがよくあります。ほとんどがstageⅠまたはⅡで見つかるので手術で根治できる確率が高いです。大腸がんを例に挙げると、がん検診で行われるのは便潜血検査(ヒトHbに対する免疫学的検査)や貧血検査です。
一方、それぞれのガンに特徴的な症状を訴えて受診する場合もあります。大腸ガンなら腹痛、便秘や血便、肺ガンなら血痰、膀胱ガンなら血尿などですね。また、発熱、全身倦怠感、体重減少などを訴える場合もあります。症状がある場合、stageは進んでいる場合が多く、多発転移していることもあります。
 


- 受診施設

 病院といっても大学病院や中核病院のような大規模で高度な治療を行えるところから、個人経営の地域に根差した小さなクリニックまで多種多様です。クリニックや診療所の検診で見つかることもよくありますが、精査や治療となるとより大きな病院に転院する必要が出てきます(病診連携)。また症状が出て大病院に連れていかれたガンが見つかることも考えられます。病院で見つかった場合もより専門的な治療を受けるために転院することもあります(病病連携)。


- 検査
  • 病変に対して

病変に対して行う検査では確定診断をします。そのために病理像からガンの性質を見極めたり、浸潤度や大きさから大まかな病期を決定します。生検や組織診断が当てはまります。大腸がんの例の続きですが下部消化管内視鏡で浸潤度、病型について検討をつけておきます。
もし転移が考えられる場合は全身の検索も行います。CTでリンパ節転移、肺転移、肝転移、脳転移は発見することができます。しかし、腹膜播種は小さすぎて見つかりません。開腹してみるまでわかりません。また、その部位のガンで特異的に合併しやすい疾病があるならその部分も精査する必要があります(MENとか)。
ところで、転移の全身検索でなんでPET-CT が第一選択ではないのかに対する理由は何でしょうか?簡単です。費用が高いわりにCTとそれほど精度が変わらないからです。PETを持っていない病院も多いし。保険なしで10万円ほどするそうです。CTでわかるなら医療費を無駄にすることはないって発想ですね。ただし、乳癌、リンパ腫など全身性のガンの場合は積極的に用いるようです。
 こんな感じで病期まで決定して治療方針を考えます。


  • 全身機能検査

ここが一番大事です。手術のクォリティーは術前検査で決まります
手術をする、化学療法をするにしても患者さんが治療に耐えられないと意味がありませんよね。治療によって逆に余命を縮めてはいけません。少なくとも

  1. 心機能(心電図、生化学検査、レントゲン)
  2. 呼吸機能検査(スパイロメトリ、血ガス)
  3. 肝機能(生化学検査)
  4. 腎機能(尿、BUN、Cr)

は考慮すべきです(肝腎は特に薬剤を考慮するうえで重要)。これらの検査を基に術中
、術後に起こりうるトラブルの予期することができます。周術期リスク管理で最も重要なのは術前検査です。外科医たるもの、事前にすべてのトラブルを予測し、トラブルを回避してサクッと解決すべし!そうすれば仕事終わりに飲みに行ける(byイケメン呼吸器外科医)


- 入院前指導

ここで最も大事なのは禁煙指導。喫煙によって呼吸機能や喀痰排出能が低下して、全身麻酔の覚醒時のリスクとなるからです。また口腔内管理も行います。口- 腔内が細菌で汚染されている場合、誤嚥すれば肺炎になるリスクが上がるからです。



- IC

あとは患者さんへの説明です。わかりやすい言葉で話すことが大切です。


続きは次回書きます。
明日朝いちから練習やのに眠れない・・・先輩に怒られるーー
西医体も近いので練習がんばらないとね!!
おやすみなさい

結核と非結核性抗酸菌の対応

今日は髪の毛を切ってきました。もともとそんなに長くないのですが、暑くて邪魔なのでばっさり行ってしまいました。あーあ、男の子みたい。色んな人に切らんでええやんってとめられたんですけどね。伸びて切って後悔、っていうのをいつも繰り返しています。

ま、どーせすぐ伸びるからいいんですけど。

 

さて、今日は結核とゆかいな仲間たちについてです。仲良しの友達が夏休み明けに結核治療で有名な某外病院に行くということや、ちょうど勉強会のQBの範囲が呼吸器感染症ということでこのお題について考えたいと思います。

 

まずは結核と非結核性抗酸菌症の違いについてざっと見ましょう

 

  結核 MAC
感染経路 人から人へ 環境(土や水)からうつる。
人から人にはうつらない。
進行の早さ 数ヶ月単位で進行 数年単位で進行
治療薬と使い方が
確立しており、
98%が根治可能
根治できる薬は
まだない
患者の特徴 男性が6割 中高年女性が多い

出典:

http://funakoshi-naika.com/pneumology/pneumology04/

 

あなたは外来診療をしている医師であるとしましょう。今日は咳、痰を主訴とする患者さんがやってきました。問診によれば2か月ぐらい咳が止まらないそうです。レントゲンでも結核のような像が見られます。

国試的には典型的な結核の患者ですね。でも、非結核性抗酸菌症の症状にも一致します。ではこの患者さんに対してどのように対応すればよいのでしょうか。

 

最も避けなければならないことは、患者が結核菌を排菌していて院内で接触した人に感染させてしまうということです。なので、まずは結核疑いの患者が出た場合は確定診断を待たずに隔離してサージカルマスクを着用させます。医療従事者はn95マスクを着用して検査をします。もし、接触者がいるのなら、接触者検診としてIGRA(インターフェロンγ遊離検査)を行います。BCGや他の好酸菌とは異なる結核特異タンパクを利用するので、結核だけをスクリーニングできる検査ですね。欠点は活動性感染なのか過去の感染なのかが区別できないことです。あと、初期の段階で肺癌の可能性も少しは頭に入れて鑑別することも必要です。

 

次に喀痰塗抹検査で本当に抗酸菌に感染しているかを確認します。この時に用いるのはZiehl-Neelsen染色ですね。

その後、染色の結果に関わらず菌のDNAを検査するためにPCR検査を行います。喀痰塗抹検査陽性かつPCR結核陽性が出たならば結核確定、即治療を開始します。喀痰塗抹検査陽性かつPCRで好酸菌陽性なら非結核性好酸菌感染症の疑いが強くなります。ただし、好酸菌は大気中や土壌中によよくいる環境常在菌なので1回の検査では確定診断をすることはできないのです。ガイドラインでは喀痰塗抹と培養検査を3回連続で行うことが推奨されています。連続で陽性になれば非結核性好酸菌感染症が確定します。

喀痰塗抹検査陰性かつPCR陰性の場合は何もない可能性が高いですが、一応培養結果と気管支鏡検査を行います。確定診断に培養結果を用いない理由は、結果が出るまでに恐ろしく時間がかかるからです。MGIT培地では7-10日、小川培地では4週間以上かかります。迅速性が求められる結核診断では待ってられへんわ!!ってなるわけですね。これらの検査で陽性なら感染疑いに逆戻り、全て陰性でやっと感染が否定されます。

 

結核患者は日本ではまだ多く見られます。結核を広げないためにも(あと接触者検査の手間を省くためにも)疑わしい患者は即隔離して短時間で検査してしまうことが大切ですね。仕事は減らしていかねば!

 

胆のう炎と胆管炎

どーも、ぬーみんです。

つい最近部活の後輩くんに彼女ができた、って聞きました。ほかの大学の同部活の子らしいです。私は部活きっての情弱なんで全く知らなかったんですけど。うちの部活は男女比が同じぐらいで下級生がめっちゃ多いのに一向に部内カップルができないんで期待(というよりもはや心配)してたからちょっと残念です。まあ部内カップルではないけど部内飲みでの炎上ネタを提供してくれた後輩君には感謝していますよ。ここ1か月は私が炎上させてて疲れてたんで。その話は置いといて。

 

さて今日は胆のう炎と胆管炎について、某外病院の消化器外科の先生が教えてくれたことをまとめたいと思います。

あなたは当直中の研修医であるとします。真夜中に腹痛で患者さんがやってきました。患者さんは熱があって右上腹部が痛いと訴えています。さて、どうしますか?

右季肋部痛で熱あるし、どーせ胆のう炎やろー・・・って適当に判断してはいけません。必ず胆のう炎と胆管炎は区別しないといけないのです。

そもそも・・・

 

胆のう炎:胆のうに生じた炎症。9割以上は胆のう結石による。胆石が胆のう頚部や胆のう管に嵌頓し胆のう管閉塞を起こして、二次的な細菌感染が加わって発症する。原因菌は主に大腸菌、クレブシエラ。

  • 症状:発熱、右季肋部痛

  • 他覚所見:Murphy兆候(吸気時に降下してきた胆のうに触れることで患者の呼吸が途中で停止する)

  • 重症化すると:胆のう穿孔からの胆汁性腹膜炎

 

胆管炎:胆管内に生じた炎症。総胆管結石や悪性腫瘍によって生じた胆管閉塞によりうっ滞した胆汁を母地として胆道感染を起こしたもの。原因菌は主に大腸菌、クレブシエラ。

  • 症状:発熱、腹痛、黄疸(Charcotの三徴) + ショック、意識障害(Reynoldsの五徴)
  • 検査所見:ALP、γ-GTPビリルビンの上昇
  • 重症化すると細菌やエンドトキシンが逆行性に血中へ移行して敗血症に移行する。この場合、ショックやDIC、腎不全を起こす。

要はどちらも結石 + 細菌感染ってことですね。どちらがよりヤバいか、と言われればもちろん胆管炎です。本当に死にます(30%)。決して見逃してはいけません。即上級医を呼びましょう。って言われました。胆のう炎は腹膜炎を起こさない限り胆のうだけで完結するけど、胆管炎はエンドトキシン入りの胆汁が肝臓・下大静脈まで逆流できますからね。

次にそれぞれの対策です。異なる点は呼ぶべき医者と緊急度です。

胆のう炎の場合は消化器外科医を呼び出して胆のうを摘出するのが最終目標です。ただし、診断されればまずは抗菌薬投与、絶食、輸液、鎮痛薬など初期治療を行って重症度を判定します。胆のうドレナージや緊急手術が必要であればすぐに行いますが、たいていは待機的手術になることが多いです。また、軽症なら抗菌薬投与と経過観察になることもあるようです。

一方、胆管炎はとにかく一刻も早く消化器内科医を呼んで内視鏡的経鼻胆道ドレナージを行わなければなりません。ドレナージを行いつつ、全身状態に応じて抗菌薬投与、絶食、輸液、鎮痛薬など初期治療を行い、ショックやDICに対する治療も並行して行います。全身状態が落ち着いてから内視鏡的乳頭切開術やバルーン拡張術で結石を摘出します。

CTをとることで鑑別ができます。

最後にもう一度。胆管炎は見逃してはいけません。

German Tank Problerm

どーも、昨日の練習試合で死んでるぬーみんです。

臨床実習が始まってるばばあにはもう若い子の相手なんて務まりませんよ・・・練習不足なのは認めますが・・・

 

さて、今日の表題は英語で書きましたが、医療ネタとは関係がありません。統計学の話題です。どうでもいいんだけど、大きな声では言えないですがぬーみんは一般教養の統計学で落単したことがあります。それ以来統計には憎しみと好奇心のような感情を抱いています。

 

第二次世界大戦中、連合国軍はドイツ軍戦車の数を把握したいと思いました。現在捕虜となった同じタイプの戦車が数個あるようで、それぞれシリアル番号が付けられています。さて少数のサンプルから全体の数を予測することは可能でしょうか?

結論から言うと、非常に高精度で予測できる計算式が開発されました。

サンプルの中の最大のシリアル番号に(最大番号 / サンプル数)を足して1を引いたものです。なんでこうなるのかはよくわかりません。ですが、「標本の最大値に標本の平均間隔を足したのが、母集団の最大値(N)」というのが簡単な解釈のようです。

シリアル番号のように1から最大値Nまでどれか1つがついている時にある数字が選ばれる確率というのは、公正なサイコロでどの数字も同じ確率で出るという考え方が応用できます。これは離散一様分布といいます。詳しくはwikiに載ってます(丸投げ)

離散一様分布 - Wikipedia

このm / kというのは母集団の標準偏差に非常に似た値のようです。

出典は不明ですが、pythonでシミュレートするコードを見つけました。コードを実行してみてもかなりの精度であることがわかると思います。

import random

def german_tank(n, k):
tanks = list(range(n))
random.shuffle(tanks)
m = max(tanks[:k])
return (k+1.0)*m/k - 1

if __name__ == '__main__':
patterns = [
(100, 5), (100, 10), (100, 20), (100, 50),
(10000, 10), (10000, 100), (10000, 1000),
(100000, 100), (100000, 1000), (100000, 10000)
]
for pattern in patterns:
results = []
for i in list(range(5)):
results.append(german_tank(*pattern))
print ('N:%6d k:%5d estimated:' % pattern, ''.join('%10.2f' % x for x in results))

 

また、ベイズ推定を使えば、次のような式でも推定することができるそうです。(これもよくわからんかった)

(m-1)**1

 

統計の力は計り知れないものですね。将来的にうまく利用できるようになりたいものですが・・・難しい・・・

*1:k-1) / (k-2

院内感染で疑うべき経路は?

夏休みになりましたーー!!!わーい!!

夏休みは部活、バイト、語学、プログラミング、旅行とやることが盛りだくさんです。がんばります・・・

前期は外科ばっかり回りましたが、とっても勉強になりました。夏休みの間に学んだことをできるだけアウトプットしていきたいと思います。後期は内科ばっかりを回ります。まだほとんど患者さんとの会話してないのでしっかり患者さんとコミュニケーションをとりたいです。

 

さて、今日は感染についてです。重症患者では感染は命取りになります。臓器不全+感染はかなり予後不良です。感染に対しては原因と経路を同定して適切な治療を早急に施すことが重要です。

ということで院内で起こる感染、特にICUで起こりやすい感染と診断方法や対策をまとめてみました。

  1. 人工呼吸器関連肺炎:レントゲンで肺野浸潤影を認める。
  2. 尿路感染症:膀胱留置カテーテルが原因。尿中白血球を認める。対策はカテーテルの交換
  3. カテーテル関連血流感染:発熱、白血球・CRPの上昇を認める。対策はカテーテルの交換、抜去。
  4. 手術部位感染:創部に発熱、発赤、疼痛を認める。また心臓手術の場合は縦郭炎も。CTでの検索を試みる。治療は開胸開腹、洗浄。
  5. クロストリジウム・ディフィシル感染症:抗菌薬による菌交代現象で起こる。CDトキシン検査で診断する。芽胞に対してはアルコールは無効。メトロニダゾールが治療薬。
  6. 胆嚢炎・胆管炎:臥床安静により胆汁がうっ滞して起こる。

このうち最も診断が難しいのは深部の創部感染です。カテ類をすべて抜いても効果なく除外診断で創部感染を疑い開胸して初めて確定という例も結構あるようです。また肺炎、尿路感染、カテ感染も明らかな身体所見がない場合も少なくありません。

 

http://www.chugaiigaku.jp/upfile/browse/browse1650.pdf

この記事が大変わかりやすいと思います。原因部位や臓器を検索することはとても重要です。感染経路は限られているのですぐに思いつくようにしておきたいものです。