レントゲン画像の見方、見逃しを防ぐために
こんにちは、ぬーみんです。
ここ2,3日はリハビリの内容が痛すぎて悶えています・・こんなんで退院できるんか・・・
さて、今日は今月の実習で一番面白かった授業の内容についてです。
これは研修医でも専門医になってからでも役に立つ内容のはずです。
内容は教えてくれた先生が研修医時代に習ったことの受け売りらしいですけど。
先生「胸部レントゲンの所見はどうですか?」
学生「は、はいっ!(えーーーっとっと??うーん、何が異常なん?)肺野異常所見なしで心拡大ありません。」
先生「キミはどこからこの画像を見たのかな??」
学生「まず肺野に注目しましたっ!!」
先生「チッチッチ、それは素人の見方と同じやな」
って始まった授業でした。本物の玄人(?)になるためにはどのような順番で見ればようのでしょうか?
どのような画像を評価する場合でも必ず避けなければならないことは「見逃している部分があること」です。
というわけで「見逃しやすいところから順番を決めて全部見る」が大原則になります。
①撮影条件の確認・・・とても忘れやすいです!!
- 左右:カルタゲナー症候群では内臓逆位、その他特殊な先天異常では内臓の左側・右側相同が見られます。
- 撮影時の姿勢:心陰影の大きさは臥位では大きくなります。また臥位では二ボーやフリーエアが見えません。(痛すぎて立位、座位になれない患者さんにはせめて左側臥位になってもらいます。右側臥位は胃泡とエアが重なって評価が難しくなります。)
- 撮影時の呼吸状態:横隔膜の位置、胸郭の大きさ、肋骨の角度が異なります。
- 線源の方向:立位の場合は患者さんの前に板を置いて後ろの線源から撮影し(P→A)、逆に臥位の場合は患者さんの背中に板を置いて前の線源から撮影します(A→P)。A→Pの場合、板がより心臓から遠い後ろ側にあるため心臓が大きく写ります。
循環器系で心拡大の評価をする場合は条件の確認がとても重要です。
②軟部組織の確認・・・これも見逃しやすいです
- 皮下気腫、縦隔気腫:肺、気管支、食道、腸管などの臓器が損傷を受けることで生じる。体腔穿刺、腹腔鏡手術、外傷、歯科治療、人工換気が原因。縦隔気腫は縦隔炎に進展しやすいので見逃し禁物
- 腫瘤、石灰化
- 体幹の浮腫
- 腸管ガス、胃泡ガス
③骨部の確認
- 鎖骨
- 肩甲骨
- 肋骨
- 脊柱:椎体の幅は約3㎝なのでほかの部位との比較に使えます。脊柱の湾曲もチェックします。
④胸郭、縦隔、気管支
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縦隔や気管支の偏位があれば気胸、血胸、胸水貯留、肺の過膨張、無気肺が考えられる。
⑤心因影
http://tnagao.sblo.jp/article/56052535.html
ここにきてやっと胸腔内の臓器に注目です。
- 右1弓:上大静脈→高血圧や動脈硬化
- 右2弓:右房→
- 左1弓:大動脈弓→高血圧や動脈硬化
- 左2弓:肺動脈→肺動脈に負荷のかかる疾患(ASDやVSDなどの左右シャント、肺高血圧、PS、貧血による血流増加など)
- 左3弓:左房→
- 左4弓:左室→心不全などで左心機能が低下
⑥肺野
詳しいことは省略しますが、見逃さないという点では肺野は隠れている場所があることを意識するべきでしょう。
実は丸を付けた部分にも肺野が隠れています。
横から見るとよくわかります。この部分にも肺がんができます。
現代の技術ではCTやMRIのように3Dで体内を評価する技術もありますが、単純レントゲンからはこのように多くの情報を得ることができるので今でもスクリーニングとして重用されています。