ぬーみんの日記

某大医大生の短期留学と膝のリハビリと医学メモ

胃・食道静脈瘤の治療

こんにちは、ぬーみんです。

先日の学生実習でQBにはクソ解説しか載っていなかった問題に先生が答えてくれました。

 

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・・・内視鏡的治療の略記はいつまで経っても覚えられない

今回は内視鏡的静脈瘤結紮術と内視鏡的静脈瘤硬化療法について簡単にまとめたいと思います。ちなみに答えはdで、bは禁忌です(静脈瘤を削るような処置は破裂するもとです)。

 

まず内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)についてです。

EVL・・・静脈瘤自体を内視鏡の先端のキャップにつけた小さな輪ゴムで止めることにより静脈瘤の血流を遮断する。

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すごく原始的な発想ですね(笑)。この療法の利点は侵襲が少なく簡便で安全性に優れていて短時間で治療が完了する点です。また、出血時の緊急処置も行うこともできます。ただし欠点としては輪ゴムをかけるだけなので再発する可能性があることです。

 

次は食道静脈瘤硬化療法(EIS)について

EIS・・・食道静脈瘤に内視鏡的に静脈瘤の内外に小さな針を刺して、そこから界面活性剤を注入し静脈瘤の破裂を防止する。

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血管を固めてしまえ作戦ですね。

利点はEVLよりも確実に止血することができることです。欠点は肝機能が悪い患者には適応できないことや、合併症として発熱、食道穿孔、腎不全、肺梗塞、食道狭窄が考えられます。また処置時間が長いです。

 

さて、なぜEISが胃静脈瘤には積極的に適応できないかということですが(教科書で確認したわけではなく先生から教えてもらってことなので正しいのか保証できませんが)、結紮後に潰瘍を形成した後に胃液がかかると再出血の原因になるからだそうです。

ちなみに胃静脈瘤は一度破裂すると内視鏡的な止血処置をするのが難しく、場合によってはカテーテル的にも止められない場合もあります。破裂は致死的なので門脈圧亢進のある患者は定期的に上部内視鏡検査を行い、胃静脈瘤を発見した場合は予防的に処置することが望ましいです。逆に食道静脈瘤は少々出血しても救命することはできるそうです。

骨の中に埋まっているもの

こんにちは、ぬーみんです。

退院してから少し経ちました。相変わらず実家で引きこもってますが歩くことにも慣れてのんびり暮らしています。

12月7日から2/3荷重での歩行が始まって少し楽に歩けるようになりました。が荷重を上げた直後は相変わらず腫れて痛いです・・・

PTの先生にはだいぶ可動域もよくなったし屈曲伸展ともに問題なくできているよって褒めてもらえました。退院して喝を入れてくれる人がいなくなった途端に状態が悪くなる 子もいるようです。私の課題は屈曲110°~120°の動きの硬さを取っていくことです。

 

さて、今日は自分の術後レントゲン写真と初対面してきました。こちらです!!

「なんかでっかいの入ってる~」ってなりましたね(医学生らしからぬ発言)

大腿骨と脛骨にそれぞれ穴を開けて膝蓋骨から採集した移植腱をスクリューにつけて入れ込み、金具でとめているそうです。

 

この先杖なしで歩けるようになっても転倒には気を付けて油断しないで生活したいと思います。

ついに退院しました

こんにちは、ぬーみんです。1週間前のことになってしまいましたが退院のことについて書きます。

 

2017/11/30

結局まるまる1か月間某大病院に入院していました。その間に木々は色づき葉を落として、気温はどんどん下がっていました。私の感覚ではまだ秋だったのですが。病院内ではほぼ半袖半パンで過ごしていたので外に出てみて驚きました。世の中ではもう冬だったんですね。

朝6時30分に目覚めて荷物をほぼ撤収し、7時30分ごろから最後の朝食を食べました。

9時ごろ、母親が迎えに来てくれました。看護師さんたちがカンファをしているのを横目に荷物を全部持って行って最後にprimary看護師さんと師長さんにあいさつ。来年は医学生として整形外科に戻ってきます(患者はもういやです)っていって帰ってきました。

 

9時30分からリハビリ。2日前から1/2荷重歩行になっていました。まだ腫れは少し残っているけど歩くことはもう慣れました。そして相変わらずの膝蓋骨の可動性の悪さ・・・家に帰ってもマッサージはしっかりしないといけないようですね・・

 

お昼から1時間だけ座学の授業を受けて実家に帰宅。

父親が私の食べたがっていたお肉を買っておいてくれたそうです。娑婆の空気と下界のご飯はおいしいな~

 

 

家に帰ってからも1/2荷重、松葉杖生活ですがこれまた不便・・

両手がふさがっていて飲み物を持ち運べない、一回に手に持てる量が制限される、お風呂場で滑るのが怖くて湯船に寒い中湯船に入るか否か毎日葛藤する、など。

 

しばらくはまだ非現実の世界で暮らすことになりそうです

術後4週目

こんにちは、長らくをサボっていたぬーみんです。今週は1日だけ実習に行ってあとは病室でのんびりしていました。

 

2017/11/21~2017/11/27

 

プログラミングではdeep learningに挑戦していますがobjectのinstallにてこずってなかなか進まず、実習の追加レポートもなかなか進まずでほとんど何も有益なことが出来ずに終わりました。

 

生活面では、ついに、なんと、21日ぶりに両足で歩きました。これだけ長期間荷重をかけていないと筋肉が衰えてしまって、ふくらはぎの筋肉で地面を押すことができません。まだ1/3荷重なのでほとんど松葉杖を頼りに歩いている状態です。焦らず安全に歩こうと思います。

 

リハビリの内容はほぼ変わりません。可動域は0°~105°に拡大しました。かなり膝の裏側に痛みと張りを感じます。以前の75°や90°に比べると余力が感じられないので次の120°はかなり苦労する気がします。

また、膝蓋骨周囲の脂肪組織が硬くなってきているのでよくほぐして滑らかにしないといけないのですが、私の組織の硬くなりやすさがマッサージの努力を上回っているようでリハビリに行くたびに先生に小言を言われる始末です。1日3回20分かけて膝蓋骨がよく動くようにマッサージする毎日です。

 

実はこの1週間のうちのある日、ちょうど夜の10時で就寝時間直前だったのですが、整形外科病棟のちょうど下の階から出火したという火事警報騒ぎがありました。幸いにも誤報だったようで何事もなかったのですが、本当に火事だったらどうなっていたことでしょう。整形外科の患者さんも私を含めて車いすや歩行器の患者さんが多いので逃げるのに苦労するわけですが、ICUや新生児科その他超重症患者さんはどうやって避難させるんでしょうか。そして避難しても生命維持は可能なのでしょうか。

そんなことを考えながら眠れない夜を過ごしていました。

私は今、人に助けてもらわないといけない社会的弱者なんだということも痛感しました。

 

レントゲン画像の見方、見逃しを防ぐために

こんにちは、ぬーみんです。

ここ2,3日はリハビリの内容が痛すぎて悶えています・・こんなんで退院できるんか・・・

 

さて、今日は今月の実習で一番面白かった授業の内容についてです。

これは研修医でも専門医になってからでも役に立つ内容のはずです。

内容は教えてくれた先生が研修医時代に習ったことの受け売りらしいですけど。

  

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先生「胸部レントゲンの所見はどうですか?」

学生「は、はいっ!(えーーーっとっと??うーん、何が異常なん?)肺野異常所見なしで心拡大ありません。」

先生「キミはどこからこの画像を見たのかな??」

学生「まず肺野に注目しましたっ!!」

先生「チッチッチ、それは素人の見方と同じやな」

って始まった授業でした。本物の玄人(?)になるためにはどのような順番で見ればようのでしょうか?


どのような画像を評価する場合でも必ず避けなければならないことは「見逃している部分があること」です。
というわけで「見逃しやすいところから順番を決めて全部見る」が大原則になります。


①撮影条件の確認・・・とても忘れやすいです!!

  • 左右:カルタゲナー症候群では内臓逆位、その他特殊な先天異常では内臓の左側・右側相同が見られます。
  • 撮影時の姿勢:心陰影の大きさは臥位では大きくなります。また臥位では二ボーやフリーエアが見えません。(痛すぎて立位、座位になれない患者さんにはせめて左側臥位になってもらいます。右側臥位は胃泡とエアが重なって評価が難しくなります。)
  • 撮影時の呼吸状態:横隔膜の位置、胸郭の大きさ、肋骨の角度が異なります。
  • 線源の方向:立位の場合は患者さんの前に板を置いて後ろの線源から撮影し(P→A)、逆に臥位の場合は患者さんの背中に板を置いて前の線源から撮影します(A→P)。A→Pの場合、板がより心臓から遠い後ろ側にあるため心臓が大きく写ります。

循環器系で心拡大の評価をする場合は条件の確認がとても重要です。

 


②軟部組織の確認・・・これも見逃しやすいです

  • 皮下気腫、縦隔気腫:肺、気管支、食道、腸管などの臓器が損傷を受けることで生じる。体腔穿刺、腹腔鏡手術、外傷、歯科治療、人工換気が原因。縦隔気腫は縦隔炎に進展しやすいので見逃し禁物
  • 腫瘤、石灰化
  • 体幹の浮腫
  • 腸管ガス、胃泡ガス

 

③骨部の確認

  • 鎖骨
  • 肩甲骨
  • 肋骨
  • 脊柱:椎体の幅は約3㎝なのでほかの部位との比較に使えます。脊柱の湾曲もチェックします。


④胸郭、縦隔、気管支

  •  縦隔や気管支の偏位があれば気胸、血胸、胸水貯留、肺の過膨張、無気肺が考えられる。

⑤心因影

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http://tnagao.sblo.jp/article/56052535.html

ここにきてやっと胸腔内の臓器に注目です。

  • 右1弓:上大静脈→高血圧や動脈硬化
  • 右2弓:右房→
  • 左1弓:大動脈弓→高血圧や動脈硬化
  • 左2弓:肺動脈→肺動脈に負荷のかかる疾患(ASDやVSDなどの左右シャント、肺高血圧、PS、貧血による血流増加など)
  • 左3弓:左房→
  • 左4弓:左室→心不全などで左心機能が低下


⑥肺野

詳しいことは省略しますが、見逃さないという点では肺野は隠れている場所があることを意識するべきでしょう。

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実は丸を付けた部分にも肺野が隠れています。

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横から見るとよくわかります。この部分にも肺がんができます。

 

現代の技術ではCTやMRIのように3Dで体内を評価する技術もありますが、単純レントゲンからはこのように多くの情報を得ることができるので今でもスクリーニングとして重用されています。

術後2、3週目の生活とリハビリ

 こんにちは、ぬーみんです。

手術からだいぶ経過しました。が、相変わらず足台つき車いすでの生活です。本当に不便です。

車いす生活で改めて感じたことは世の中には段差が多すぎてバリアだらけであること。一人では全く移動できません。病院から医学部教務までのわずか50 mだけで3か所も乗り越えられない段差がありました。健康だったら絶対に気づくことはなかったでしょう。

 

さて今日は最近の生活について書いていきます。

 

2017/11/7 ~ 2017/11/13

リハビリでは術後1週目から膝関節可動訓練をします。まずは10度から75度。今までは20度で軽く屈曲固定していたので、ちょっとだけ膝を伸ばして大きく曲げる練習ってことですね。

あと、しっかりと膝蓋骨を動かす、特に上下方向!!

生活面では、病院実習に復活しました!!本当に看護師さんと周りの実習メンバーと実習科の先生方やスタッフの皆様のおかげです。特に車いすで行って内視鏡室に入れてもらって見学させていただけるなんて、なんとお礼をいっていいのか・・マジで邪魔だったと思います・・・

手術から1週間も経てば痺れは膝外側部を除いて完璧になくなります。痛みも膝屈曲の最初以外は全く感じません。何よりも筋力がなくなっていくのがわかります。

日常生活では車いす、トイレ、ベッドの移動も慣れて足を上げておくことも難なくできています。ただし油断は禁物です。慎重すぎることはありません。

 

2017/11/14 ~ 2017/11/21

2週間を超えると可動域訓練は5度から90度になります。さすがに90度はガイドワイヤーを通して血腫ができた部分と半月板の近くが痛みます。

さらに2週間を超えると膝蓋骨の周囲が固くなってきます。特に私は固くなりやすいのでリハビリを含めて1日3回はお皿マッサージをすることにしました。

あと腹筋、背筋、腕立てのトレーニングも再開してプロテインも飲むようにしています。

実習では身体診察ができないということで患者さんは当ててもらえませんでした。残念・・

退院のめども立っていい感じで進んでいます。

 

まあざっとこんな感じです。

高校の時の友達、後輩、バーのマスター、いろいろな方にお見舞いに来ていただいて感謝の極みです。

 

医学ネタも仕入れているのでまた書きます。

ACL仲間 その2

こんばんは、ぬーみんです。最近調子に乗ってアニメを見ながらリハ~~とかやってたのでポケットWi-fi通信制限を食らいました。現代っ子ぬーみんにとっては通信速度 = 元気のバロメーターなのでほのんまに鬱になってました。

がしかし、ここに救世主が!!入院患者用無料持ち込みPCネットコーナーなるものを発見して毎日占領しています。周りでPC持ち込んでいる患者さんを見かけないのでここは私の特等席ですね。

 

ええ加減医学ネタを投下したいのですが更新が億劫になるので、今日は最近新しく仲良くなったACL仲間について書きます。

 

まず先生。

自衛隊みたいな丸刈りのいかついT先生(おそらくリハビリテーション部の責任者?)。手を洗った後に拭いた紙をゴミ箱に投げて、入ってはどや顔をしてくる。まあ99%はずしてるけど。

大学病院1の輝くイケメン、王子(T先生)。王子って呼びかけると振り返ってくれるそうです。大学病院のパンフにも載っているそうです。残念ながら既婚です。

不思議系イケメンのY先生。ACL仲間のお姉さま方に「絡みにくい」「突っ込みどころがない」とかよくいじられてます。奥さんにスキー場でプロポーズして成功した次の日、調子に乗ってスノボで危ないことをして左薬指を骨折したそうです。結局結婚式は完治しないまま行い指輪も腫脹サイズだったので今はスカスカだとか・・この話を真顔でされて反応に困っている私をみて引かないで!!って言ってきたので「目が笑っていない」と先生に感想を言ったら、それがとどめの一言になってしまったようです。ごめんなさい、悪気はありません。

 

さてACL仲間。

某有名女子高の1年生。医学部志望。フットサルで2回ACL断裂を起こしている。私が医学生だって言ったら感動していました。いや、君のほうが賢いよ。この子の学年は現行のセンター試験最後の代だそうです。浪人すると新試験の勉強をやり直しになるそうで絶対に現役で通るしかないそうです。文科省、何ということをするんだ、高校生がかわいそうじゃないか!!

某有名私立大学のバレー部の女の子。背が高くてかわいいです。この子も2回目だとか。また切りそう~~~とか言いながらもうすぐ部活に復帰するそうです。もうあかんで。ちなみに再建腱採集部は膝1本に2か所(ハムストリング、膝蓋腱)、全部で4か所あるので理論上は4回までは切っても再建できることになります。が切らないに越したことはありませんね。

ACLではないけど膝軟骨移植のお姉さん2人。1人は体操をずっとやっていて半月板や足首など今回を含めて8回目の手術をしているというベテラン?さんです。どんなけ体操をしていたんやろうか。仕事柄朝に弱いので朝ごはんは抜いてもらっているそうです。夜の仕事・・?もう一人はハンドボール高校3冠の最盛期のメンバーで今回で3回目の手術のお姉さん。リハではいつも膝以外の筋トレもしています。復帰する気満々!

最後は某大生物系の研究室の助教のお兄さん(本人はおっさんやって自虐している)。細胞の中心体と染色体分裂の研究をしているそうです。中心体は紡錘体から伸びてくる微小管がくっついて微小管に引っ張られながら2つに均等に分裂しますが、中心体は2本の微小管がくっついていないとそれを感知して細胞分裂を止める働きがあるそうです。染色体欠損、重複して分裂した細胞は普通は死んでしまうそうです。お兄さん曰く染色体異常が入ってガン化するのは不運でしかないそうです。しかも後天的な染色体異常でガンになる場合、発症年齢は生殖年齢以降なのでガンになるのは仕方がないことだそうです。医療関係者に言ったらこっぴどく怒られたそうですが。

 

以上、最近の仲間たちです。そろそろACL的後輩がほしいところですが・・・ついに来週現れるそうです!!