医療リスクマネジメント
医療の特性
- 印象が残る
- 期待と不安
- 情報源が他の患者からの噂
→非技術的なところでトラブルになりやすい
病棟で落ちていた針
今日の研修医オリエンテーションの写真。
なんと清掃の人が発見した病棟に落ちていた針だそうです。中には清掃の人が何かわからないまま拾ってしまって針刺し事故を起こした例もあります。
これらの針の中で注目すべきは次の2つです。
1.自己血糖測定器の針
2.自己インスリン注射の針
この2つの器具の問題点は①小さすぎること、②安全装置がついていないことです。
①について。糖尿病患者の特性は網膜病変(目が悪い)ことや末梢神経障害(手がしびれている)があることです。
目が悪くて手先がしびれているのにこんな小さな部品を取付部位に持っていって、回して、セットして適切に使うということは難しいと思われます。ましてや床に落としてしまったら見つけることはとてもできないでしょう。
②について。看護師さんが使用する針は次の2つです。
なんとどちらにも安全装置がついています。
みんなが救命の主役
院内コード・ブルー
コードブルーとは?・・・患者さんの急変に対して医療従事者を集めるための院内号令。
ところで
急変って何?
患者さんの変化?
状態の変化?
何が変わるのか?
当たり前過ぎて考えたことがなかった・・
急変とは?
急変 = 患者さんのABC+意識の変化
- A:軌道。息をするとゼイゼイしてる
- B:呼吸。息をしていない
- C:循環。顔が真っ青
- 意識:意識の変化。急に倒れた、時人場所がわからなくなった
これは必ず覚える
急変患者を見つけたら?
- 自身がないけどなんか変な患者がいる:コードブルーで人を集める
- 意識がない:迷わず胸骨圧迫
↓
- 集まった人になぜ呼んだか、など的確な情報を伝える
↓
- 結果軽症だったとしても気にしない。それはただの結果論。
なぜみんなが救命の主役なのか?
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1405796
院外心停止に対する早期心肺蘇生、というスウェーデンの論文では
- 早期 CPR と生存率とのあいだの正の相関がみられた(補正後オッズ比2.15)
- 倒れてから CPR 開始までの時間と 30 日生存率とのあいだにも関連がみられた
つまり、人が倒れたら1秒でも早く助けを呼んで1秒でも早くCPRをすることが生存につながる。
これは医療関係者はもちろん、市民も果たすべき役割である。
接遇とは
接客と接遇のちがい
- 接客:マニュアル。当たり前の対応。
- 接遇:おもてなし。相手の望んでいることをそれとなく察して先回りする。
体調の優れない人に「気分が悪いです」と言われてから行動するのでなく、しんどそうであることを察して「ご気分が悪いですか?ベッドをご用意しますね」と先に声を掛ける、など。
これはプライベートでも大切
第一印象の重要性
第一印象は5秒で決まって3年持続する。
第一印象の5ポイント
- 全身の身だしなみ:清潔感、機能性、統一感
- 表情:言葉との一致
- 態度:しぐさ、動作、姿勢。24時間×365日見られていると考える
- 話し方:クッション言葉、否定語を避ける。
- 挨拶:自分から先手必勝
特に新人は挨拶が重要。仕事は何もできなくても挨拶は誰でもできる。
第一印象は5秒で決まる怖い面があるが、逆にだいいが良ければその後の関係構築は非常に簡単になるはず。
コミュニケーションの3要素
- 言葉
- 態度
- 表情
スタッフとのコミュニケーション
- 職場ルールを守る
- 挨拶先手必勝
- 「好き」から関係を作る。ポジティブな職場
- 「ほうれんそう」:報告の一本化(指示者に直接)、細やかな連絡、すぐ相談
スタッフとのコミュニケーションがうまくいっていないと最終的に不利益を被るのは患者さんになる。職場環境を良くしてコミュニケーションを取りやすくすることが医療安全につながる。
穴があったら入れてみたい(1)
お久しぶりです・・・
こんにちは、国試の勉強が飽きてきたのでブログに現実逃避しに来ました。
頭が良すぎてうかる、てわけでもないのでさっさと勉強に戻ります・・
さて、今回は「穴があったら」起こってしまうことについて全3回で書いていこうと思います。
下ネタ???
いえいえ、そんなお下品?なことは書きません
体に穴があれば起きうる異物と誤飲について医学的に真面目に、国試勉強を兼ねて書きます。
第1回目は「意外と経過観察でも問題ない異物・誤飲」についてです。
飲み込んでも意外に害のない
(例題)
次の5つのうち、小児が誤飲しても緊急処置の必要性が低いものを2つ選べ
- マニキュア除光液
- 中性洗剤
- ボタン電池
- 裁縫のまち針
- 体温計の金属水銀
今年の必修にでないですかねー、差がつく問題になると思うんですが。
答えは2と5です。
害のある異物の処置
マニキュア除光液は直ちに救急車を呼んで病院に行き、胃洗浄が必要です。
有機溶剤やアセトンが主成分なので少量でも中毒を起こします。また気管に入り込むと肺炎も引き起こすので、誤嚥防止のため絶対に吐かせてはいけません。
ボタン電池は化学的に、針など鋭利な異物は物理的に消化管穿孔の可能性があるので、内視鏡摘出の対象になります。
経過観察でも大丈夫な異物
まず中性洗剤です。
毒性はないのですが、胃粘膜保護のため水か牛乳をコップ1杯程度を飲ませて様子を見ていれば大丈夫です。
ただし無理に吐かせると泡や洗剤自体で誤嚥する可能性があるので吐かせてはいけません。
次は意外な体温計の金属水銀についてです。
ちなみに体温計1本に入っている金属水銀の量は0.8g~1.2gだそうです。
毒性がほとんどない上に消化管から吸収されにくいので牛乳を飲んで様子見で問題ありません。体温計の破片で口を怪我していないかだけ見ておきましょう。
ただし、こぼれた金属水銀を密室に放置すると水銀蒸気になります。この水銀蒸気は毒性が強いです。
数時間で発熱、悪寒、呼吸困難、頭痛など多彩な症状が発生します。
すぐに風通しのいい場所に移動して、鼻をかみうがいをして病院へ行きましょう。
体温計を割って水銀が出てきたときは密閉容器に入れて戸外に出しておくと蒸気吸入を防ぐことができます。
この記事のまとめ
中性洗剤と金属水銀は意外ですね。
有害無害、いずれのケースでも吐かせるのは誤嚥するのでダメとされています。
誤飲したものをよく確認しましょう。
参考資料
http://www.j-poison-ic.or.jp/ippan/M70138_0100_2.pdf
http://jsda.org/w/3goingoyou/index21.html
お酒を戒めるために考えたこと
久しぶりにアウトプットします。
だいぶ前の学年女子会で盛大にお酒の失敗をしたので自分を戒めるために
お酒を控えるべき理由
健康
- 飲酒がリスクの生活習慣が多い(肝硬変、肥満、糖尿病など)
- 酔っていると怪我をする可能性がある。
- 体型を維持できない。
- お酒と一緒に出てくるご飯は健康上良くない(高塩分、高脂肪分、高糖質)
生活・時間
- 二日酔いでその日のよると次の日の夕方までを無駄にする
-
吐物で汚して掃除する必要がある
- 飲んだら車・自転車に乗れない。終電を逃す可能性もある。
- 睡眠の質が悪くなる
対人関係
- 喋ってはいけないことを話して信用を失う
- 介抱してもらい、他人に迷惑をかける
- 人に飲むことを強要してパワハラにつながる
- セクハラ、一夜の間違いのもと
お金
- お酒を飲むのは経済的に負担になる。特に外で飲むと。
- 健康被害が出ると医療費がかかる
- 酔って器物損壊で弁償する必要がある
まだまだありそうです。思いつき次第書き足します
節度ある飲酒は?
とはいえ、付き合いで飲まざるを得ないことはあるし、お酒の力をうまく利用して自分に有利に物事を進めることができるとも言えます。自分なりに考えたルールを書き出します。
【お酒ルール】
- 家飲みは1週間で1回まで
- 自分で企画するときは飲み放題の店を利用しない
- 質より量。おいしいお酒を少量、適量のごはんとともに楽しむ
- 万が一爆飲みするときは利害関係のあるコミュニティでないメンバーで、できれば家で
- 飲み放題のお酒は4杯程度でやめる
- いつも以上に発言には気をつける。聞き役や質問役に徹するように意識する
など?
以降もお酒には気をつけます。
女性を見たら〇〇と思え・・・でも落とし穴があるかも
どーも、ぬーみんです。
ニート生活が始まって、早くも曜日感覚を失っているところです。
大学に後輩とばったり出会って
ぬ「土曜日やのに勉強?えらいね」
後「先輩、今日は金曜日ですよ、実習でした」
って言われるポンコツぶりです。
さて、今日は必修の勉強をしていて気づいたあることに考察したいと思います
なぞなぞ
救急外来で若い女性を見たらその正体はなーんだ?
byだれかさん
若い女性が腹痛でやってきた
問題はこちらです。
109H26
- もともと悪心があって、昨日から右下腹部痛が出現した
- 嘔吐がある
- 微熱
ということは虫垂炎にちがいない。鑑別も消化器系の疾患を挙げるべきだろう。
とにかく腹部CTをすれば一発でわかるぞ!!解決やな!!
となってしまいそうになりませんか、この問題出題の仕方だと。
若い女性を見たら妊娠を疑え
では黒塗りをすべて外して問題を見てみましょう
そう、これは妊娠初期症状の女性に対する対応を問うた問題だったのです。
言われてみれば・・・
まさに「女性の腹痛=妊娠を疑え」の教訓が活かされる場面ですね。
妊娠の可能性?
さて、仮に消化器系疾患と仮説を立ててCTに進むとしましょう。
問診では女性には必ず妊娠の可能性を問診するはずです。
ここで返ってくる可能性があるパターンはいくつか考えられます
Q「妊娠の可能性はありませんか?」
パターン①「ないです。(月経は順調、性交渉もなし)」
パターン②「ないです。(月経は順調、性交渉あり)」
パターン③「ないです。(月経は不順、性交渉はなし)」
パターン④「ないです。(月経は不順、性交渉あり)」
パターン⑤「ないです。(最近月経が来ていない、でもまさか妊娠だなんて)」
パターン⑥「実はしています。」 ←先に言え(怒)
パターン⑦「最近月経が来ていないのでもしかすると、かも」
おわかりいただけるでしょうか?
返ってくるパターンは実情がどうであれ、ほぼ「妊娠していません」の言葉だとは思いませんか?
④⑤のパターンで避妊をしっかりしていない女性で、あれば妊娠の確率も高くなると考えられます。
⑥⑦のパターンで返してくれる患者さんばかりならありがたいですが、おそらく「妊娠の可能性」とだけ訪ねても月経の詳しい状況や性活動まで詳しく聴取することは難しいと思います。
一人の女性の意見として、自分なら検査前の問診では確証がない限り「妊娠していません」と答えます。まだ妊娠したくないし
胎児の被爆は?
さて消化器疾患仮説でCTを撮影した場合に問題になるのは胎児の放射線被曝ですね。
妊娠中にCT検査を受けることになったが、お腹の子供(胎児)は大丈夫ですか?
放射線によって胎児に影響がでるとされる線量(しきい線量)は、100 mGyと言われています。表6に示すように、CT検査を受けてもしきい線量を超えることはありません。100mGyというのは、子供が自然に形態異常を持って生まれる発生率:3 %をわずかに上回ることが疫学的に確認できた値であり、100 mGyを超えると100 %形態異常になるわけではありません。
万が一CTを撮影してしまっても、1回では胎児奇形のしきい値を超えないということですね。
よかった
ただこの胎児の発育週数を推定すると、器官形成期に当たるので余分な被爆は避けるべきであったといことは言えると思います。
ちなみに
妊娠検査薬で陽性反応が出るのは妊娠4週以降だそうです。
検査薬で陰性であるからといって必ずしも妊娠が否定できるとは限りません。
妊娠の可能性を見逃さないために
「妊娠の可能性は?」「ないです」ほど信用のない回答はありません。
プライバシーの配慮は必要ですが、できれば「病気を見極めるために、月経のことについて聞かせていただけないでしょうか」と前置きをして周期、整か不整か、月経量はどうか、鎮痛薬の使用頻度を含めた月経痛も問診しておく必要があります。
妊娠が疑わしい場合はさらに「失礼ですが、最後の性交渉はいつか、生理は来ているのかも教えていただけますか?」ぐらい付け加えてもいいと思います。
この記事のまとめ
- 女性の腹痛を見たら妊娠を疑え(婦人科疾患も忘れずに鑑別に挙げてね)
- 妊娠中にCTをとっても胎児に重大な影響が出る可能性は少ない
- 「妊娠の可能性」は正確な質問ではない。「月経の詳細、性交歴」まで問診すると確実
- 患者さんのプライバシーに配慮した聞き方を忘れずに