無気肺で肺葉の位置関係を復習する
こんにちは、最近戒名の半分を授かってきたぬーみんです。
徹夜明けでお寺に行ったので住職のありがたい話のほとんどで寝ていました。
完全な戒名をもらっていないのでまだ死ねないです。
なぞなぞ:影は影でも、白く写るかげってなーんだ?
今回の記事は無気肺についてです。レントゲンで見ると改めて肺葉の位置を確認することができます。
無気肺とは
無気肺は、肺の一部または全体に空気がなく、肺がつぶれた状態です
肺がぺしゃんこになっている状態ですね。
多くの場合は気管支が閉塞したことでその先の肺葉に空気出入りできなくて起こります(閉塞性無気肺)。
閉塞の原因物は腫瘍(扁平上皮がん)、痰、異物(ピーナッツだと厄介)が挙げられます。
画像を見る前に肺の解剖をざっくり復習
右肺は上・中・下、左肺は上・下に大きく分かれていましたよね。
肺葉は上や下とはいうものの、完全に上下方向に重なっているわけではなく前後方向に重なっている部分がある点です。
レントゲン写真の読影用語で使う「肺野」との概念の違いを理解する必要があります。
つまり、読影用語の上・中・下肺野が肺葉の上・中・下と完全に一致しないことがポイントです。
シルエットサイン
単純レントゲンは2次元の世界です。
陰影の奥行をとらえるために有用なサインがシルエットサインです。
この図では水を正常構造、円柱を陰影の原因構造物と考えてください。
左の図では水と円柱が接しておらず奥行レベルでは重ならない状態です。
これをレントゲンで撮ると水と円柱の境界は明瞭になります。
シルエットサインは陰性です。
逆に右の図では水と円柱が重なり、レントゲン撮影では境界不明瞭になります。
こちらがシルエットサイン陽性です。
つまり、本来見えているべき線に病変が隣接することで、線が消えてしまった状態をシルエットサイン陽性といいます。
レントゲンを見てみよう
前提として、無気肺ということは肺の容積が小さくなるので胸腔が陰圧になります。
その結果どの肺葉が無気肺になっても漏れなく横隔膜挙上の所見が見られます
右上葉無気肺
右第1弓との境界が不明瞭でシルエットサイン陽性です。
右上肺葉の下端は水平に近く、手前や奥に他の肺葉が重なっていないため無気肺の像が非常にわかりやすいです。
右中葉無気肺
かなりわかりにくい画像ですが・・・・
浸潤影と心右縁のシルエットサインは陽性で、浸潤影は前方にあると考えられます。
右下葉無気肺
浸潤影と横隔膜のシルエットサインは陽性、
浸潤影と右第2弓のシルエットは陰性なので、浸潤影は後方にあると考えられます。
左上葉無気肺
左肺の浸潤影はよく見ると大動脈や肺門部の陰影と境界がたどりにくなっています。
左上葉と右上葉では無気肺の像が著しく異なります
左下葉無気肺
一見すると左心拡大に見えますが・・
心拡大であれば横隔膜との境界が明瞭、シルエットサイン陰性のはずです。
これは虚脱した左下肺野が左心室と横隔膜に接しているため右第4弓、左横隔膜、浸潤影のシルエットサイン陽性になっているという所見です。
この記事のまとめ
- シルエットサインは2次元ワールドの単純レントゲンで奥行を知る手掛かり
- 境界不明瞭が陽性
- 無気肺は意外とわかりにくい。横隔膜挙上とシルエットサインで疑う
参考資料
https://www.jichi.ac.jp/hospital/top/jcmct/img/photograph_abc.pdf