絞扼性イレウスから患者を救え
なぞなぞ:セクシーな女性の体形はボンキュッボンだけど、イレウスになった腸の体形ってなーんだ?
こんばんは、マッチング締め切りにびびってるぬーみんです。
今更ビビっても仕方がないんですけどね。
今回も放射線科関係の記事です。
腹痛患者が現れた!!
研修医だけで当直しているときに腹痛の患者がやってきました。
55才女性、嘔吐があり腹部は膨満しています。ちなみにこの方は1か月前に子宮全摘術を行ったそうです。
イレウスっぽいですね。
(この年齢で腹痛って触れ込みで来ると考えることめっちゃあるやん、めんど)
まずどうしよう・・・
①問診 ②バイタル ③身体所見 ④血液検査
といったところでしょうか。
①では開腹歴があるのかが重要になります。中高年で開腹歴がないのにイレウスが疑われれば大腸癌の可能性が高くなります。
②でショック、③で腹膜刺激兆候や腸雑音低下、④でCK,LDHが上昇していれば緊急度が一気に上がります。
一通り診察を終えて危機的状況でないことがわかりました。
次は何しよう・・
画像検査に行く余裕があるので造影CTを取ることにしました。
http://www.jat-jrs.jp/journal/37-3/37-3osada.pdf
あーー、思った通りイレウスでしたね。
所見を見る前に腸管がどうなっているか見てみよう
http://www.jat-jrs.jp/journal/37-3/37-3osada.pdf
絞扼イレウスになるパターンはA.腸管や索状物への嵌頓 B.捻転 C.重積
が挙げられるが、大半はAの嵌頓だそうです。
この場合、closed loopが形成されます。
このclosed loopはCT上で「ボンボンキュッ」と「2つの爪」に見えます。(どんな体形やねんっ)
イレウスを3つの部分に分けます。
Ⅰ:狭窄の前。食物が通過できずに腸管が拡張する
Ⅲ:狭窄の後。食物が来ないので虚脱する
そして重要なのがⅡの部分です。
Ⅱ:静脈うっ滞→毛細血管破綻→出血性梗塞の経過で壊死が進んでいきます。
静脈がうっ滞することでclosed loopも腫脹し、腸管中の水分が内外に漏れることで腸管拡張や腹水を引き起こします。
2つの爪は索状物に挟まれた腸管の狭窄部です。
イレウスの所見は?
①腸管壁浮腫
②腸管内水分貯留
③静脈拡張
④血管壁造影不良
①~③は静脈うっ滞の段階、④は毛細血管破綻の段階の所見です。
さて、ここで最大の難問が襲い掛かります・・
ラスボス:『外科医を叩き起こすか問題』が現れた!!
外科医をたたき起こして緊急手術だと思う人ー(゚Д゚)ノ
外科医は怖いから保存療法で頑張っても大丈夫だと思う人ー(゚Д゚)ノ
造影CTで腸管血流が保たれているかを確認することができます。造影低下あれば血流が低下しているということですね。
どれぐらい血流が低下していたら手術に踏み切るべきなのか・・・・
このラスボス問題の答えですが、『血流の有無にかかわらず緊急手術が必要』です。
血流(+) → 残存できる腸を増やし機能温存が可能になる
血流(-) → 腸管壊死から敗血症に至るので問答無用で壊死部分を切除
どちらにしろ絞扼している状態で来たのなら患者を救う方法は手術しかありません。
この記事のまとめ