左房拡大所見
なぞなぞ:左っていうけど後ろにあって見にくいものってなーんだ?
by名無しのだれか
こんにちは、しばらくブログを書いていなかったぬーみんです。
今日は放射線科で習ったことについて書きたいと思います。
国試に出てくるレントゲン写真は典型的でわかりやすいものが多く病歴などにヒントが
ある場合が多いです。
例えば心拡大なら『ぶふぉっwww心胸郭比0.8ぐらいあるやん、心不全奴~ww』ってぐらい画像ですね。
しかし、心拡大には心臓が拡大しているようには見えないものもあります・・・
レントゲン所見は正常?
この胸部単純写真の所見はどうでしょうか。
一見すると著明な心拡大も認められず、肺野も異常なしと診断しそうになります。
心胸郭比で言えば0.6弱といったところでしょうか。
ところで、この画像はどのようなサイトから拾ってきたと思いますか??
実は僧帽弁狭窄症のレントゲン読影のページからとってきました!!そう、MSがあるんですよ、この患者さん!!
LearningRadiology - mitral, stenosis, ms
所見を解説する前に解剖を思い出す
この所見を読むためには左心房の解剖を思い出す必要があります。
大動脈弓の高さ。気管は分岐していません。ピンクの部分が肺静脈です。
気管分岐部の高さです。有名な『人』方の肺動脈が見えてきました。
心臓の4区画が見える高さです。1つ前の図で気管分岐部があった下には何と左心房があります。
左心房、お前は裏に隠れていたのか・・・
左心房が拡大している人のCTを見てみよう
大きいですね~
重要なことは縦方向の拡大のみで横方向の拡大がなく、正面像からはとらえにくいということです。
だから心胸郭比の拡大がなかったのですね。
レントゲンで見える所見について考えよう
1.左第3弓の突出
上の写真の赤い矢印です。
これは左心房の左端が前の右心室より左に張り出しているのを見ています。
2.気管分岐角の開大
水色の矢印です。
上の図でも見た通り、左心房は心臓の一番裏側に位置し気管に接しています。
左心房が拡大すれば下から気管が押し上げられて気管分岐角が開大します
3.右第2弓内側のdouble shadow
黒の矢印と白の矢印を比べてみてください。
さらに拡大が進むと、発生の名残から左心房は右側に進出します。
この進出してきた左心房の影が右心房の陰影ラインの隣に見えるようになります。
臨床症状で疑うことはできないの?
心房細動や血栓性の疾患があれば疑うきっかけになるかもしれません。
逆に早期にMSを発見できれば心房細動から心原性脳梗塞という経過を防止できる点で非常に重要です。
この記事の内容をまとめると・・・
- 左心房は裏側に隠れている
- 単純レントゲンで左房拡大を疑うべき 所見は
- 左第3弓の突出
- 気管分岐角の開大
- 右第2弓の内側にdouble shadow