ぬーみんの日記

某大医大生の短期留学と膝のリハビリと医学メモ

呼吸機能検査(後編)

こんにちは、ぬーみんです。

昨日、映画『ダンケルク』を見てきました。IMAXの大スクリーンでの上映で、本当に迫力がありました。銃声や爆発音が臨場感満載で怖かったです。ただ、カメラアングルがリアルさを求めすぎていて、戦闘機シーンと船上のシーンで乗り物酔いをしました。ここだけ苦手な人は注意ですね。

この映画は誰かの物語というよりも過去の現実を自分が体験をするためのものではないでしょうか。あと、私は気づかなかったんですがノーラン監督は都合が悪くなると逃げだすところをBrexsitの暗喩として描いているんじゃないかって話もききました。

 

さて、前回の続きですね。

 

●機能的残気量

主に3つの方法があります

  • ヘリウム閉鎖回路法:閉鎖回路で体内で代謝されないヘリウムを吸い、希釈率から機能的残気量を求めます。初めの容器に入ったヘリウム濃度をC1,容器とチューブの容積をV1とすると、この時のヘリウム容量=C1 × V1となります。次に被験者は回路内で呼吸します。ある程度呼吸を繰り返しているとヘリウムガス濃度が平衡状態に達します。その時の濃度はC2,容積は容器とチューブのV1に機能的残気量のV2を足したもの、つまりヘリウム容量はC2 × (V1 + V2)。ヘリウムが代謝されないことから次の等式が成り立ちます。

         C1 × V1 = C2 × (V1 + V2)

 

  • 体プレチスモグラフ法:被験者に密閉した大きなボックスに入ってもらい、ボイルの法則を利用して測定する方法です。

 

  • 窒素洗い出し開放回路法:純酸素で呼吸して肺内の窒素(N2)を全て除去したのち、除去された窒素の量から残気量を測定します。

 

詳しくは

日々是好日~ゆっくりゆっくり生理学~: 呼吸生理_11  (しくみ)

窒素洗い出し曲線(N2単一呼出曲線)とクロージングボリュームについて分かりやすく解説します | 人工呼吸器学習サイト  (しくみ)

機能的残気量(FCR)の測定方法 | 人工呼吸器学習サイト  (利点・欠点)

 

 

●肺拡散能力

拡散能を表す数値はDLcoです。この検査ではHbと結合しやすい気体として何と一酸化炭素が使われます。

まず、ごく低濃度のCOを吸入して数秒間息を止めます。すると気体は間質を通過して速やかにHbと結合して呼出される量はほとんどなくなります。

しかし間質の透過性が低下しているとCOがHbと結合せずに呼気に出されます。この呼気中のCOからDLcoを求めます。

ちなみに息を止めている間に死腔へCOが拡散してしまうので前段階で機能的残気量を測定しておくことが必要です。