ぬーみんの日記

某大医大生の短期留学と膝のリハビリと医学メモ

胆のう炎と胆管炎

どーも、ぬーみんです。

つい最近部活の後輩くんに彼女ができた、って聞きました。ほかの大学の同部活の子らしいです。私は部活きっての情弱なんで全く知らなかったんですけど。うちの部活は男女比が同じぐらいで下級生がめっちゃ多いのに一向に部内カップルができないんで期待(というよりもはや心配)してたからちょっと残念です。まあ部内カップルではないけど部内飲みでの炎上ネタを提供してくれた後輩君には感謝していますよ。ここ1か月は私が炎上させてて疲れてたんで。その話は置いといて。

 

さて今日は胆のう炎と胆管炎について、某外病院の消化器外科の先生が教えてくれたことをまとめたいと思います。

あなたは当直中の研修医であるとします。真夜中に腹痛で患者さんがやってきました。患者さんは熱があって右上腹部が痛いと訴えています。さて、どうしますか?

右季肋部痛で熱あるし、どーせ胆のう炎やろー・・・って適当に判断してはいけません。必ず胆のう炎と胆管炎は区別しないといけないのです。

そもそも・・・

 

胆のう炎:胆のうに生じた炎症。9割以上は胆のう結石による。胆石が胆のう頚部や胆のう管に嵌頓し胆のう管閉塞を起こして、二次的な細菌感染が加わって発症する。原因菌は主に大腸菌、クレブシエラ。

  • 症状:発熱、右季肋部痛

  • 他覚所見:Murphy兆候(吸気時に降下してきた胆のうに触れることで患者の呼吸が途中で停止する)

  • 重症化すると:胆のう穿孔からの胆汁性腹膜炎

 

胆管炎:胆管内に生じた炎症。総胆管結石や悪性腫瘍によって生じた胆管閉塞によりうっ滞した胆汁を母地として胆道感染を起こしたもの。原因菌は主に大腸菌、クレブシエラ。

  • 症状:発熱、腹痛、黄疸(Charcotの三徴) + ショック、意識障害(Reynoldsの五徴)
  • 検査所見:ALP、γ-GTPビリルビンの上昇
  • 重症化すると細菌やエンドトキシンが逆行性に血中へ移行して敗血症に移行する。この場合、ショックやDIC、腎不全を起こす。

要はどちらも結石 + 細菌感染ってことですね。どちらがよりヤバいか、と言われればもちろん胆管炎です。本当に死にます(30%)。決して見逃してはいけません。即上級医を呼びましょう。って言われました。胆のう炎は腹膜炎を起こさない限り胆のうだけで完結するけど、胆管炎はエンドトキシン入りの胆汁が肝臓・下大静脈まで逆流できますからね。

次にそれぞれの対策です。異なる点は呼ぶべき医者と緊急度です。

胆のう炎の場合は消化器外科医を呼び出して胆のうを摘出するのが最終目標です。ただし、診断されればまずは抗菌薬投与、絶食、輸液、鎮痛薬など初期治療を行って重症度を判定します。胆のうドレナージや緊急手術が必要であればすぐに行いますが、たいていは待機的手術になることが多いです。また、軽症なら抗菌薬投与と経過観察になることもあるようです。

一方、胆管炎はとにかく一刻も早く消化器内科医を呼んで内視鏡的経鼻胆道ドレナージを行わなければなりません。ドレナージを行いつつ、全身状態に応じて抗菌薬投与、絶食、輸液、鎮痛薬など初期治療を行い、ショックやDICに対する治療も並行して行います。全身状態が落ち着いてから内視鏡的乳頭切開術やバルーン拡張術で結石を摘出します。

CTをとることで鑑別ができます。

最後にもう一度。胆管炎は見逃してはいけません。