ぬーみんの日記

某大医大生の短期留学と膝のリハビリと医学メモ

German Tank Problerm

どーも、昨日の練習試合で死んでるぬーみんです。

臨床実習が始まってるばばあにはもう若い子の相手なんて務まりませんよ・・・練習不足なのは認めますが・・・

 

さて、今日の表題は英語で書きましたが、医療ネタとは関係がありません。統計学の話題です。どうでもいいんだけど、大きな声では言えないですがぬーみんは一般教養の統計学で落単したことがあります。それ以来統計には憎しみと好奇心のような感情を抱いています。

 

第二次世界大戦中、連合国軍はドイツ軍戦車の数を把握したいと思いました。現在捕虜となった同じタイプの戦車が数個あるようで、それぞれシリアル番号が付けられています。さて少数のサンプルから全体の数を予測することは可能でしょうか?

結論から言うと、非常に高精度で予測できる計算式が開発されました。

サンプルの中の最大のシリアル番号に(最大番号 / サンプル数)を足して1を引いたものです。なんでこうなるのかはよくわかりません。ですが、「標本の最大値に標本の平均間隔を足したのが、母集団の最大値(N)」というのが簡単な解釈のようです。

シリアル番号のように1から最大値Nまでどれか1つがついている時にある数字が選ばれる確率というのは、公正なサイコロでどの数字も同じ確率で出るという考え方が応用できます。これは離散一様分布といいます。詳しくはwikiに載ってます(丸投げ)

離散一様分布 - Wikipedia

このm / kというのは母集団の標準偏差に非常に似た値のようです。

出典は不明ですが、pythonでシミュレートするコードを見つけました。コードを実行してみてもかなりの精度であることがわかると思います。

import random

def german_tank(n, k):
tanks = list(range(n))
random.shuffle(tanks)
m = max(tanks[:k])
return (k+1.0)*m/k - 1

if __name__ == '__main__':
patterns = [
(100, 5), (100, 10), (100, 20), (100, 50),
(10000, 10), (10000, 100), (10000, 1000),
(100000, 100), (100000, 1000), (100000, 10000)
]
for pattern in patterns:
results = []
for i in list(range(5)):
results.append(german_tank(*pattern))
print ('N:%6d k:%5d estimated:' % pattern, ''.join('%10.2f' % x for x in results))

 

また、ベイズ推定を使えば、次のような式でも推定することができるそうです。(これもよくわからんかった)

(m-1)**1

 

統計の力は計り知れないものですね。将来的にうまく利用できるようになりたいものですが・・・難しい・・・

*1:k-1) / (k-2

院内感染で疑うべき経路は?

夏休みになりましたーー!!!わーい!!

夏休みは部活、バイト、語学、プログラミング、旅行とやることが盛りだくさんです。がんばります・・・

前期は外科ばっかり回りましたが、とっても勉強になりました。夏休みの間に学んだことをできるだけアウトプットしていきたいと思います。後期は内科ばっかりを回ります。まだほとんど患者さんとの会話してないのでしっかり患者さんとコミュニケーションをとりたいです。

 

さて、今日は感染についてです。重症患者では感染は命取りになります。臓器不全+感染はかなり予後不良です。感染に対しては原因と経路を同定して適切な治療を早急に施すことが重要です。

ということで院内で起こる感染、特にICUで起こりやすい感染と診断方法や対策をまとめてみました。

  1. 人工呼吸器関連肺炎:レントゲンで肺野浸潤影を認める。
  2. 尿路感染症:膀胱留置カテーテルが原因。尿中白血球を認める。対策はカテーテルの交換
  3. カテーテル関連血流感染:発熱、白血球・CRPの上昇を認める。対策はカテーテルの交換、抜去。
  4. 手術部位感染:創部に発熱、発赤、疼痛を認める。また心臓手術の場合は縦郭炎も。CTでの検索を試みる。治療は開胸開腹、洗浄。
  5. クロストリジウム・ディフィシル感染症:抗菌薬による菌交代現象で起こる。CDトキシン検査で診断する。芽胞に対してはアルコールは無効。メトロニダゾールが治療薬。
  6. 胆嚢炎・胆管炎:臥床安静により胆汁がうっ滞して起こる。

このうち最も診断が難しいのは深部の創部感染です。カテ類をすべて抜いても効果なく除外診断で創部感染を疑い開胸して初めて確定という例も結構あるようです。また肺炎、尿路感染、カテ感染も明らかな身体所見がない場合も少なくありません。

 

http://www.chugaiigaku.jp/upfile/browse/browse1650.pdf

この記事が大変わかりやすいと思います。原因部位や臓器を検索することはとても重要です。感染経路は限られているのですぐに思いつくようにしておきたいものです。

意味のある酸素吸入、意味のない酸素吸入

実習や国試の問題集でよく見る症候、例えばむくみとか動悸とか。

学生にとっては答えを解くカギでしかないけれど、いざ自分の身に起こってみるとかなり怖いです。ほんとに。

昨日、詳しい症状は伏せますがとある症候が出て目の前が真っ白になりました。身の危険を感じた私はありとあらゆる知識を動員して鑑別診断を開始しました。そしたら出てくる出てくる、予後不良疾患!!本気になれば身に着けた知識がポンポン出てくるものですね。

結局びょうみえも読んで鑑別してみたんですが、おそらく大したことのない病気だろうって結論になりました。一安心。

自分の身におかしな症状が起これば本気になって調べまくるのでよーく身に付きました。これは医学生にだけではなく一般の患者さんにも当てはまることじゃないでしょうか。最近はネットで医学的知識を検索できるので患者さんもご自分の病気についてはよくご存じのようです。医学のプロになるからには知識の上で患者さんに負けないのは当たり前で、患者さんに的確なアドバイスを与えたり不要な不安を取り除いてあげることや精神的な支えになることが医師の大きな役割ではないのかな、と考えた1日でした。

ちなみに医学生は仲間内で症状を鑑別するときは自分の知りうる最も予後不良な疾患を出していく、みたいな風習があります。だからまず当たりません。

 

さて、今日はどんな患者さんに酸素を吸わせるかについてです。結論から言えば重症患者にはとりあえず酸素を吸わせとけで間違いないんですけどね。

この時に大切な数値はずばりA-aDO₂です。これはA(肺胞)とa(動脈)のD(difference)、O₂(酸素)、つまり肺胞に含まれる酸素(PAO₂)と肺の毛細血管に含まれる酸素濃度(PaO₂)の差を表しています。このA-aDO₂の値が大きくなっているということは、何らかの理由で肺胞から毛細血管に移動するときに酸素分圧が低下している、ということになります。

PaO₂は血ガスから直接わかりますが、PAO₂は直接測定はできません。そこで理論式を用いて求めます。

PAO₂ = (大気圧ー水蒸気圧) * 酸素濃度 - PaCO₂/R

 (大気圧ー水蒸気圧) * 酸素濃度は肺胞に吸い込んだ酸素の分圧です。そのあとのPaCO₂/Rはガス交換でCO₂と交換された酸素分圧を求めたものです。Rというのは

R = CO₂排出量 / 酸素消費量 (およそ0.8だが食事内容によって変化する)

で肺胞にあるCO₂(PACO₂)はどれぐらいの酸素と交換した結果生まれたものかを求めるのに使います。ところでPACO₂も直接求めることはできないのですが、CO₂の拡散能は非常に高いので

PACO₂ ≒ PaCO₂

と近似できます。よって肺胞内でCO₂と交換されてなくなってしまった酸素分圧はPaCO₂/Rと表すことができるのです。

これで例の覚えにくい式ができるわけですね。

 

A-aDO₂ = (大気圧ー水蒸気圧) * 酸素濃度 - PaCO₂/R - PaO₂

    = (760 - 47) * 0.21 - PaCO₂ / 0.8 - PaO₂

A-aDO₂の値は理想的には0なんですが、様々な理由で開大していきます。一般に20を超えると異常値とされています。

A-aDO₂が開大する原因は主に3つです。

  1. 換気血流比不均等:1つの肺胞に対してたくさんの血流が流れる一方、流れない肺胞も存在する状態。間質性肺炎、肺水腫、ARDS、COPD
  2. 拡散障害:肺胞壁の肥厚や水が溜まることで血管に酸素が移動できない状態。間質性肺炎、肺水腫、ARDS、COPD
  3. 肺内シャント:肺動脈血が肺胞に接することなく肺静脈に戻っていく状態。先天性心疾患、無気肺、肺動静脈婁

 要は肺が悪い、ということです。とにかく酸素を吸わせるべきです。

逆にA-aDO₂が正常なのに酸素化が悪ければ肺以外の原因が考えられます。いわゆる肺胞低換気ですね。呼吸筋マヒや神経疾患、気道確保ができていない、または呼吸停止です。この状況で酸素を吸わせることに意味がないとは言い切れませんが、何より大切なのは気道を確保して強制的に換気させることです。挿管からの人工呼吸!!

 

まとめ

酸素化が悪い患者さんで

  • A-aDO₂が開大:肺が悪いから酸素を吸わせる
  • A-aDO₂が正常:肺胞に酸素が入っていないから気道を確保

ってことですね

手術麻酔の今昔物語

最近、実習のせいで毎日朝7時に家を出るぬーみんですが、 昨日と一昨日は好きなだけ寝て体力を回復してきました。寝放題の学生特権ももうすぐ終わってしまうのか・・・今のうちに寝だめしておかないとですね。

今日は某製薬会社さんがお弁当を出してくれました。なんと鰻!!!

やったーーーーー!!

人のお金でグルメするのはやっぱり最高です。

 

さて、麻酔科実習なのに集中治療ばっか勉強しているので術場麻酔は自習することにしました。そこで前回実習で言ったとある外病院の麻酔科の先生におすすめされた本から、勉強した内容のごく一部をアウトプットしたいと思います。

やさしくわかる! 麻酔科研修

やさしくわかる! 麻酔科研修

 

 

まず大前提として、麻酔には3要素があるといわれています。すなわち、

「鎮静」・・眠らせる、記憶をなくさせる

「鎮痛」・・痛みを感じさせない

「筋弛緩」・・動けなくする

これらを組み合わせて手術侵襲に対する有害反射を抑制しています。例えば起きているときに開復手術をされたらPTSDになるだろうし、痛みを感じれば(眠っていたとしても神経が反応すれば)血圧が上がって止血困難の原因になります。内視鏡手術で体動なんてあれば大変危険です。

そして一番大切なことは、有害反射を抑えてしかもホメオスタシスを保つこと、なのです。

さて時は1800年代後半、麻酔薬といえば吸入麻酔のエーテルぐらいしかありませんでした。エーテルは鎮静薬に分類されますが、単剤で深度を変えることで神経系まで完全にマヒさせることができました。

http://www-yaku.meijo-u.ac.jp/Research/Laboratory/chem_pharm/mhiramt/EText/YS-LaboClass/images/YSLC-14.GIF

しかし、単剤で無理をして麻酔をすると回復に時間がかかり副作用が強くなります。そこで1926年に提唱されたのが薬剤のいいとこどりの「バランス麻酔」というものです。

それぞれの役割に特化した薬剤を使うことで薬の量を減らしつつ麻酔状態を維持できるようになったのです。特に鎮静薬と鎮痛薬には相乗作用があるので必ず併用して使用されます。しかし、一方で麻酔薬の濃度さえ変えれば麻酔深度が深くなるというわかりやすい仕組みだったのが、現在のバランス麻酔ではそれぞれの薬物の反応を臨床兆候からのみでは把握できなくなってしまいました。麻酔中には生命を保証するモニターだけではなく、麻酔の効果を判定するモニターも必要になっているのです。

 

現在よく使用される薬剤

  • 鎮静薬(吸入)・・・セボフルラン、デスフルラン
  • 鎮静薬(静脈)・・・プロポフォール(ディプリバン)
  • 鎮痛薬・・・レミフェンタニル(アルチバ)
  • 筋弛緩薬・・・ロクロニウム(エスラックス) 

プロポフォールやレミフェンタニルは短時間作用型なので術後すぐに覚醒させることができる。ロクロニウムに対しては拮抗薬のスガマデクスで管理がしやすくなっている。

今の麻酔のトレンドは短時間作用、相乗効果狙いのものですね。           

透析ができないときに急性腎不全患者が来たら・・

人間が生きている、とは何なのでしょう。

ICU実習で出会った患者さんたちは、それはもう考えられない程重症な人たちばかりです。

亡くなった人、重篤な後遺症が残っている人、心停止を起こした子供、たくさん見ました。(あんまり詳しく書くのはよくないか)

そして、今日も最重症の患者さんが家族に看取られながら亡くなったそうです。私はその時には立ち合いませんでしたが。

DNR(Do Not resuscitate)、つまりこれ以上の蘇生を望まないという同意を家族から得たので、PCPSが詰まるまでの命となりました。

ただ、この人は死んではいないけど生きてもいないんじゃないかって疑問に思いました。患者さんはこんな最後を望んでいたのかなって。鎮静を0にしてもGCS2で左足を切断し気胸修復の大手術を行って、カテコラミンを使って収縮期血圧を70をかろうじて保っていた状態です。まあ、家族さんに最後に合わせるためには死なしてはいけないのでしょうね。最後に患者さんを見たときは血圧49/46、心電図波形はペーシングにかろうじて反応しているがほぼ停止、血中乳酸200越え、なんて見たこともない数字でした。もちろん顔色も土気色で死にゆく人の顔色なんだなって。

家族さんが最後の面会をしているのを遠目で見ているとなんだか切ない気分になりました。将来、こういう人たちと向かい合っていくんですね・・・

 

さてさて、今日のお話。研修医で当直している時に重症急性腎不全の患者が運ばれてきました。深夜なので透析室は開いていませんから透析はできません。患者さんは呼吸が苦しいと訴えています。心電図上、不整脈も出ています。採血してみるととんでもない検査結果です。さあどうする??

まずは腎前性、腎性、腎後性ってのを鑑別しないといけないんですが、これはまたの機会に・・・今回は腎性とわかっていると仮定しましょう。

腎不全患者で緊急に対処しなければいけないのは①尿が出せないことが原因の溢水、②高K血症、③アシドーシスです。

 

①尿が出ないので利尿薬は無効です。溢水で問題になるのは肺水腫による呼吸困難です。この場合、人工呼吸でPEEP(呼気終末陽圧)をかけて肺胞を広げてあげれば改善される可能性があります。

 

②高K血症ではまず致死的不整脈を起こさないことを目標にします。とりあえず心臓を落ち着かせるためにグルコン酸カルシウムを投与します。これにはKを下げる効果はありませんが時間稼ぎにはなります。次にインスリンとグルコースを投与します。インスリン効果でグルコースが細胞に取り込まれるときにKも一緒に取り込まれるので血中濃度を下げることができます。

 

③アシドーシスに対してはメイロン(NaHCO3)を使います。この時できれば経口投与のほうが望ましいようです。静注は国試では禁忌になっていたような気がします。緊急時はいいのかもしれませんが・・とにかくHCO3で中和させます。

 

ここまでできればピンチを乗り越えられます。しかし、最も大事なのは”緊急で透析を行ってくれる病院を探すこと”です。上の3つの処置はただの時間稼ぎでしかありません。転院先を探すまでが当直医の仕事です。たぶん。

輸液の種類

ICUで心停止の患者が出ました。

即座にICUの先生が胸骨圧迫とバッグマスク換気をはじめて、その後すぐに心外の先生たちやってきてが体外循環の用意を始めて。あっという間にオペ室の看護師さんとか麻酔科の先生とか主科の先生も集まって蘇生は無事成功、緊急手術に出棟していきました。

見事なチームプレーと冷静さに感動しました。
自分も冷静にこういう人たちを助けられる医師になりたいって心底思いました。いや、本当に!!

先生たちいわく、「まあ、こうなると思ってたわ~笑」らしいけど。そこまで予見してICUに入れてたのか…


さて、輸液はどうやって選ぶのか…
輸液の目的は主に①水分と栄養補給、②循環血漿量の維持。

①補充するものは細胞内外の成分と栄養です。

このときによく使われるのが3号液、もしくは維持液と呼ばれるものです。
生食を5%ブドウ糖で1/3にうすめたものであるとよく言われます。
特徴は一日で失われる電解質(KやNa,Cl)のバランスを再現している点、一日に必要なビタミンやミネラルも含まれている点です。
まあ言ってみればご飯の代わりです。もちろん全カロリーは補えませんが。

②出血等ショック時や手術、消化液喪失のときです。

補充する成分は細胞外液に近いものです。
出血量の少ない時から順に
生食or1号液→リンゲル液→HES入り→アルブミン製剤
が選ばれます。

生食は0.9%NaCl(とっても安価!!)。1号液は生食を5%ブドウ糖液で半分に薄めたもので開始液と
もいわれます。この二つの輸液の特徴は"Kフリー"であること。救急で運ばれてきた病態不明の患者にはファーストチョイスです。
リンゲル液は細胞外液と同等の成分でできています。実はスポドリはリンゲル液の成分を参考にして作られたそうです。上2つとは異なりKやCaが含まれています。

HES入り輸液のHESとはヒドロキシエチルデンプンのことで膠質浸透圧を高めるための物質です。そのためこの輸液は代替血漿薬と言われます。
それでも血漿浸透圧を維持できなければアルブミン製剤を投与します。ただしネフローゼ症候群のように腎臓がざるになっている病態では投与禁忌です。


ちなみに細胞内液の喪失分も考慮して出血の3倍の量を輸液しないといけないそうです(細胞外液、細胞内液は体重のそれぞれ20%と40%)


www.gebaeiyouclub.com

このサイトがわかりやすいって思いました。

www.slideshare.net

このスライド、神!!ここまでしっかりまとめれるようになりたい。
が、今日のところは先生におしえてもらったことだけまとめてみた。今の段階ではこれぐらいわかれば恥ずかしい思いはしなくて済むかな・・


f:id:numin-yumin:20170722174918p:plain
成分はだいたい言えるほうがいいかな。特に生食とリンゲルのNa濃度は言えないと恥ずかしい。

アウトプットは難しい・・・

PDAで足背動脈からもAラインを取る理由

どうやら先天性心疾患のある赤ちゃんって睫毛がふぁさーーってしてるらしいですね。ICUの先生が言ってました。なんでなんやろー


さて、PDAで足背動脈からもAラインを取る理由について。

PDA(動脈管開存症)とは、出生時になんらかの理由で大動脈と肺動脈をつなぐ動脈管が閉じない疾患です。

動脈管は右心に還ってきた血を肺の手前で大動脈へバイパスするルートです。胎児期は肺が未熟で、胎盤から酸素が供給されるため血液を送る必要がありませんから。
ても、生まれて自分の肺で酸素を取り込むようになれば肺に血流は必要です。動脈管があれば動脈血と静脈血が混ざるので酸素化効率が下がります。
というわけでふつうは出生後48時間までには閉じる…はずです。

PDAでは高圧系の大動脈から低圧系の肺動脈に血流が流れるため肺血流が増えます。極細い動脈管なら無症状のこともありますが、太ければ肺血流が増えすぎて、右心系に負担がかかります。長期間放置すれば右心不全などの症状が出てきます。

PDA単体であればカテーテルでのコイル塞栓術で治療できます。ただPDAは他の心疾患(例えば単心室)を合併していることが多いのです…

そんな子は、まずは肺血流と体血流を調整する手術をします。その時に動脈管をいじることがよくあります。

で、なんでAラインを足でもとるか。実は動脈管があまりに太いと下行大動脈とまちがえることがあるそうです。間違えて切ってしまったら…( ゚д゚)
取り返しのつかないことになります。実際、前脊椎動脈虚血から対麻痺をおこした事例があるそうです。
そのため、動脈管を結紮したりbamdingするときは足背動脈Aラインで血圧が下がらないこと、つまり下行大動脈でないことを確認してから行うようにしているのです。

では。実習に遅刻しそうなのでこれにて。